【ボーカルレジスターを知ろう】⑤ホイッスルボイス、フラジオレット、フルート

前回までの復習

ボーカルレジスター(声区)の種類:

ボーカルフライ(グロタルフライとも呼ばれる)

チェストボイス

ミックスボイス(ヘッドミックス、チェストミックス/ベルトボイス(ベルティング))

ヘッドボイス(ファルセット)

☆ホイッスルボイス(フラジオレット、フルートとも呼ばれる)⇦今回

ホイッスルボイス、フラジオレット、フルートについて

ホイッスルボイス(whistle)のwhistle は笛とか口笛という意味です。

flageolet(フラジオレット)は元々、16世紀ごろから作られた木管の楽器で、初期のものはフレンチフラジオレットと呼ばれています。

また、flute(フルート)も皆さんお馴染みの楽器ですよね。小鳥がさえずるような音色と形容されることもありますが、どちらも共通するのが高音域の音色になります。

特に、ホイッスルボイスは、squeaky 、つまりキーキーしたという言葉で表現されます。

その時の喉頭筋は輪状甲状筋(CT)がフルに働いた状態です。

声帯の状態は、声帯の後ろ側が振動抑制されます。

つまり声帯が震えなくなって振動がなくなることで、声帯の長さを短かくして発声する状態です。

こちらも、人によって、名前に対して色んな声区の定義が混在していますが、「声の音色や音質と声帯」の状態の観点から、フラジオレット、フルート、ホイッスルボイスは同じカテゴリーの声区としています。

この声区は、ヘッドボイスよりさらに高い音域なので、一番高い声区になります。

そして、ポップスのようなCCMスタイルの歌のメロディではほとんど聴きませんが、これまでポップスで使用されている例はどんなの?と疑問に思う方のために、記事の最後にリンクを貼りました。興味のある方は参考にしてください。

ボイスサイエンスではホイッスルボイスの出し方は見つかっていない

ホイッスルボイスについて、ここからが重要な話ですが、ボイスサイエンス上では、ヘッドボイスから地続きのように連続した音程の先に出てくる高音ではなく、偶発性の高い声区とされています。ヘッドボイスからホイッスルボイスまでの間の発声が抜け落ちている状態です。

ボイスサイエンスでは「ホイッスルボイスの出している声帯の状態」の分析はできても、「どうやったら出せるようになるか」の解明が現在は見つかっていないそうです。

つまり、高音域をヘッドボイスから段階的に広げていくトレーニング方法は確立されておらず、出せるようになった人たちが、ある一定のヘッドボイスの最高音からジャンプして突発的にC6以上の高音が出ることが多いので、ニューヨークボイストレーニング では、ホイッスルボイス自体は全く否定などしてませんが、そのトレーニングについては他に優先すべきものがあるので行っていません。

しかも、高音域が出にくいと悩んでレッスン にいらっしゃる方のほぼ全員、またはこの動画をご覧の方も高音が出せるようになりたいなと思っている方は、ヘッドボイスが必要であって、ホイッスルボイスが必要だという方はほぼいないと思います。

もう一つが、ホイッスルボイスのSqueakな声、つまり物珍しくて、どちらかというと飛び道具的な「奇抜な表現」を求めることよりも、歌においての豊かな表現のために優先すべきことはありませんか?という考えからもヘッドボイスなどのトレーニングを先決させています。

と言っても、楽に人間の出せる最高音域をどうやって出すのか、気になるという方もいると思うので、英語ですがクラッシックのソプラノ歌手や、男性ボイストレーナーの方のhow to動画を概要欄に貼っておきます。

フラジオレット、フルート、ホイッスルボイスの例:

Misia 「つつみ込むように」0:22-0:27を参考

ホイッスルボイスは0:22-0:27を参考

Minnie Riperton 「Lovin’ you」0:24-0:26を参考

https://youtu.be/Vg28ic1mnzE

Mariah Carry 「Emotions」1:06-1:08を参考

Christina Aguilera 「Pero Me Acuerdo De Tí」3:53-3:57を参考

Pentatonix”Whistle Notes” など。

<ご注意>色々なホイッスルボイスの出し方動画がアップされている中で、特に喉周りの筋肉にconstriction(締め付け)が見られるやり方は真似をしない方がいいです。

無理やり出されているやり方を真似することでご自身の声帯を痛めないようにお気をつけください。

フラジオレット、フルート、ホイッスルボイスのトレーニング動画のご参考:

ホイッスルボイスの出し方動画のご参考