【ボーカルレジスターを歌に活かす】思い通りに歌うために必要なこと

この記事は、ボーカルレジスターの中で主軸となるチェストボイス、ミックスボイス(チェストミックス、ヘッドミックス)、ヘッドボイスを理解し発声できるようになったからから多いご質問をお答えしています。

前回までの復習

ボーカルレジスター(声区)の種類:

ボーカルフライ(グロタルフライとも呼ばれる)

★チェストボイス⇦歌唱に重要なレジスター★

★ミックスボイス(ヘッドミックス、チェストミックス/ベルトボイス(ベルティング))⇦歌唱に重要なレジスター★

★ヘッドボイス(ファルセット)⇦歌唱に重要なレジスター★

フラジオレット(フルート、ホイッスルボイスとも呼ばれる)

どれかのレジスターサウンドが正解/不正解ではない

レッスンで、レジスターバランスの取れるようになった生徒さんから「どのレジスターで歌ったらいいですか?」と質問されることがあります。

例えば、「この曲は、もしくはこのフレーズは、チェストボイスですか?それともヘッドボイスですか?」などという質問です。

ここで、まず大事なことはどれかのレジスターサウンドがいい悪いというものではありません。

正解、不正解があるわけではありません。

さまざまなレジスターで発声トレーニングすることは、思いのままに歌えるようになるための「必要なスキル」を身につける為なのであって、そのスキルをどう使うのは「自分自身」なのです。

てのレジスターサウンド を自分でコントロールして意図的に発声できる状態になることが優先

レッスンにいらっしゃる大体の方は、チェストかヘッドボイスのどちらかの声区が発達していてどちらかが弱い

だから低音や高音の不得意がある/ブリッジポイントをミックスボイスで歌えない

レジスターごとの移行がスムーズに行えずに音色がガラッと変わってしまうという悩みを多く抱えていらっしゃいます。

全てのレジスターサウンド を自分でコントロールして意図的に発声できる状態

つまり、いろんな音域を楽に歌える状態になる ということが何より重要です。

そうすることで色んな音域での楽な発声が可能になり、歌においての自由な表現が可能になります。

歌においての自由な表現とは

「僕は/私は、こう歌いたい、こう表現したい」という思いがまず先に来て、それを負担のない楽な歌い方で可能にするには、どのレジスターサウンドで歌ったらいいか?という考え方の順序です。

例えば、「オリジナルだとパワフルな声で歌われているけど、私は優しい声で語りかけるように歌いたい」と思った場合、

チェスボイス/チェストミックスではなくヘッドボイスやヘッドミックスのレジスターサウンド で歌う練習をするというイメージです。

ボーカルディレクションである歌唱指導とボーカルスキルを磨くボイストレーニングは別もの

レッスン生の中には、ミュージカルや劇団の俳優女優の方もいらっしゃいますが、ミュージカルのプロデューサーは全体の理想に向かうべく、各ボーカルのディレクションも行います。

そのような歌の表現力を求める’歌唱指導’と、ボーカルテクニックを求める’ボイストレーニング’の指導は別ものだと考えてます。

どのように表現したいか、というのは芸術的な取り組みです。

芸術には正しい答えがあるわけでもなく、”先生”から正しい答えというようなものを与えるわけでもなく、

自分自身で深めていくことです。

一方、自由な表現を可能にするためのボイストレーニングは、ボーカルテクニックを身につけることが目的であるため、

ボイストレーナー は発声のガイド役であり、安易に講師の好みのスタイルの歌い方を押し付けないように(られないように)することが大切です。

NYVTのレッスンでは、ご本人の思い通りに歌えないという発声の問題を解決するために、色んなアプローチを行って、良い感覚を掴めるようになることでボーカルスキルを磨くよう取り組んでいます。

ボイストレーニングのステップ

ご自身でボイストレーニングを取り組む際には、声の名前を分類された「レジスターサウンド 」の種類を知り、

それを「聞き分ける力」を養って音色や音質の「分析」ができるようになるということが、ボイストレーニングにおいてまず第一ステップです。

それができるようになって、次にそれぞれのレジスターサウンドを出せるように「トレーニング」に取り組むというステップになります。

ちなみに、執筆者は、今となれば各ボーカルレジスターの必要性をしっかりと認識できていますが、

昔はソウルシンガーやハーレムゴスペルサウンドに憧れて、オペラや声楽のようなヘッドボイスサウンドの声を出すことを拒否していました。

そして、高音域もチェストボイスのみで無理やり歌おうとして、悪い方向のトレーニング方法で結果、たくさん練習した結果、慢性的に声割れや裏返るようになり、最後にはそれまで出せていた高音が出なくなりました。

なので、たくさんの生徒さんを指導してきただけではなく、私自身の発声の経験からも、

ボーカルレジスターのバランスを良くすることが、とても重要だと思っています。

まとめ

  • 歌唱に必要なチェストレジスター、ミックスボイス、ヘッドボイスのバランスが良くなるようにトレーニングする。
  • どのレジスターで歌っても正解/不正解はなく、どう歌いたいかは自分自身で深めるべき芸術的な取り組み。
  • 歌の表現を求める歌唱指導と、そのために必要なボーカルテクニックを求めるボイストレーニングは別物。
  • 自由な表現を求めるためにボーカルスキルを磨く必要がある。


各レジスターごとの発声の悩みの解消方法、トレーニング方法についてはまた別の記事でお伝えします♪