つらいアレルギー症状のセルフケアについて
歌う時にアレルギー症状が出ていてはとても辛いですよね。
鼻水が絶えず流れ出たり、くしゃみが止まらなくなり、目が痒いなど、日常生活にも支障をきたします。
ボイストレーニングのレッスンをご受講の方も、アレルギー症状に苦しむ方は少なくありません。
特に、今年は花粉症の症状に苦しんでいるかたがレッスンや身の回りでもとても多いと感じます。
一番に多いのは春先のスギ花粉の時期ですが、その症状が年々ひどくなってきたという方や、いろんなアレルゲンに反応して通年を通してアレルギー症状が出るという方もいらっしゃいます。
私自身も幼少期にアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎を抱え、その後学生時代に花粉症を発症するようなアレルギー体質です。
長時間のスタジオでのボイストレーニングのレッスンでハウスダストからアレルギー症状を引き起こしたり、
喉を休ませることなく演奏の仕事や保育園でのレッスンの疲れで免疫力も低下していたため、
声帯炎や声帯浮腫となり声が出なくなった経験も何度もあります。
もともと気管支炎になりがちな上に、喉の酷使が重なった結果、咳喘息(こちらもアレルギー性)も発症してしまいました。。
花粉症や気管支炎や咳喘息では、日常生活が辛く歌うどころではなくなってしまいます。
抗ヒスタミン薬、点鼻薬や咳喘息用の吸入と、症状を緩和させる対処療法を手放せなくなった生活をなんとか改善させたいと、
アレルギー症状対策や体質改善や自然療法や食事改善等、色々と試してきたのでご紹介します。
今回は、症状の不快感を鎮めるための手軽にできるセルフケアについてご案内します。
アレルギー症状のためのセルフケアのおすすめ3選+おまけ
- 鼻うがい
- ハーブティ,ハーブのサプリメント
- ヨガ
- その他: アメリカではホメオパシーのレメディ(民間療法の舌下薬)が小売店で販売されている
おまけ: 日本では、医療機関でアレルゲンを診断された場合、皮下、または、舌下免疫療法という根本治療を受けられる(詳しくは、医療機関にお問い合わせください)
1.【鼻うがい】
始めるまでは、「うわぁ。。なんか痛そう」と拒否反応を示す方も多いのでは。私もそうでしたw
でも、背に腹はかえられず試してみたところ、鼻のムズムズや鼻詰まりがとても楽になるのを感じてから、花粉症や風邪の症状が出た時はこまめに行っています。
<やり方>
ぬるま湯で0.9%の生理食塩水を作り、鼻うがいの器具(安くて千円以下でネットで販売されてます)を使って、片鼻で優しく吸い込みます。そうすると、口、もしくは反対の鼻から自然に吸い込んだ水が出て来ます。鼻詰まりがひどければ、無理に吸い込もうと力を込めると、耳に水が逃げてしまうので(頭を傾けたら排出されます)、吸い込めなければそのまま出すなど、無理せずに優しく行うことがポイントです。
日本の耳鼻科やボイスクリニックでは、上咽頭炎の治療としてBスポット治療があります。
鼻の一番奥の部分に直接消毒する方法で治療時間は一瞬で済みますが、プールで間違って鼻から水を吸い込んだような痛みが残ります。
痛いのが分かっていながら治療に行くのがちょっとブルーになってしまうという方(私がそうでした)は、治療の代わりに「鼻うがいでも良いですよ」と耳鼻科の医師からも言われたので、私は鼻うがいを実践しています。
上咽頭は、ウイルスや細菌をキャッチする場所でもあるので、炎症が起こりやすい場所でもあります。
鼻詰まりの爽快感だけではなく、炎症を和らげたり、鼻の中を清潔を保ったり、乾燥を防いだりするためにも、鼻の不快感が気になる時には日に1~2回をお勧めします。
YouTubeでも『鼻うがいについて』ご紹介してます :
2.【花粉症時に飲むハーブティやハーブのサプリ】
ハーブは副作用が少なく緩やかに症状に効くので、予防的に飲んでいます。
「どうせ水分とるなら、美味しく飲めた上で少しでも身体にいいもの飲みたい」という位の期待度で飲み始めましたが、メディカルハーブの資格を取ったり、漢方やアーユルヴェーダを勉強したりするにつれ、西洋、東洋の民間療法で共通して使われてきたハーブもあり、世界で昔から病気の治癒に役立てられてきた歴史の長いハーブや漢方の効能も生活に役立てていきたいですね。
<アレルギー症状にお勧めのハーブ>
※注意: 漢方薬を常用の方は、その中にリコリス(甘草)などが含まれる場合があります。重複すると内服量が多すぎる可能性があるので、その場合は内容物をご自身で確認する、医師や薬剤師に飲み合わせをご相談するなどご注意ください。
ネトル:抗アレルギー、強壮
エルダーフラワー:アレルギー性鼻炎や花粉症などのカタル症状(鼻水や目の充血など)の緩和
ペパーミント:アレルギー症状緩和、鎮痛
リコリス:抗炎症作用や抗ウイルス作用、抗アレルギー作用
カモミール:リラックス効果、抗炎症作用
私は、上記のハーブや、他に気分に応じたメディカルハーブを常備してその日の気分でブレンドしてハーブティーを飲んでいます。
ネットでは農薬不使用のハーブティも豊富に販売されていますが、最近では日本にも安く売られている市販のブレンドティのYogi teaも色々な症状に応じて手軽に購入できます。
ニューヨークボイスケアでは、アレルギー症状に良いとされているハーブ+喉の炎症を抑えるリコリスも入っているオリジナルブレンドティーも販売しています。自分でブレンドするのが面倒な場合はどうぞご活用ください。
ニューヨークボイスケアのハーブティ:
また、ハーブのサプリとして、
Slippery Elm (スリッペリーエルム) というサプリがあります。
こちらは、北米に自制するニレ科の樹皮の粉末ですが、ネイティブアメリカンが古くから活用してきたものです。胃腸や呼吸器系の粘膜をスムーズにしてくれるというもので、気管支喘息がひどく咳止めも全く効かなかったときに咳止め薬をやめてスリッペリーエルムのサプリを飲んだらスゥっと咳がひきました。
粉末でも手に入りますが、ハーブティやその他ドリンク溶かして飲むのはお勧めしません!
iHearbやネットショップで簡単に手に入ります。こちらもハーブティ同様、サプリだからといって薬やその他のハーブ、漢方との飲み合わせを軽視しないようにお気をつけ下さい。
そのほか、ハーブティでもサプリでもお勧めなのが、花粉症だけでなく全体の免疫UPのために、エキナセア があります。
こちらも、北米のネイティブインディアンが風邪予防、感染症ケア、熱病、歯痛などに使ってきたハーブです。そのため「インディアンのハーブ」と呼ばれています。葉、茎、花など全草が用いられますが、特に根の部分に強い効能があると言われ、免疫機能を向上させる糖タンパクや多糖類(イヌリン)、アルキルアミド、フラボノイドなどの成分を含みます。また、抗アレルギー作用もあり花粉症やアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などの緩和にも効果があると言われています。薬用として使用されるエキナセアはアングスティフォリア(angustifolia)、パリダ(pallida)とプルプレア(purpurea)がありますが、中でも特にプルプレアが最もすぐれているとされています。
参考図書:『はじめてのハーブ手帖』EDing Corporation
『ハーブの薬箱、英国流メディカルハーバリストからの提案』リエコ・大島・バークレー
その他、メディカルハーブ資格検定参考書 等
3.【ヨガ】
花粉症の時も、鼻水が止まらない状況では、呼吸が浅くなってしまいます。
深い呼吸を意識し続け、体と心の緊張を取り除いていくことができるヨガでは、交感神経と副交感神経のどちらも刺激することで自律神経の調整が期待できます。
また、自分の呼吸や身体の状態に意識を向けることを通して内観していくマインドルフネスによって心のバランスも保つことができます。
ヨガ未経験者の方の中には、「体が硬すぎてできない」と躊躇される方もいますが、それは「苦しくて辛そう」だと感じるからではないでしょうか。
筋肉や、筋肉を包み結合組織である筋膜は、デスクワークや立ち仕事、スポーツなどの特定の姿勢や同じ動き方を続けることで、バランスを崩したり老廃物が溜まったりします。また、集中して作業を続けたり、ストレスを大きく感じる場合、呼吸を止めたり浅くなったりしてしまいます。
私自身も、緊張体質でちょっとしたことで身体が硬直させたり、パソコン作業やスマホ操作や調べ物をするときに意識しておかないと息を止めがちです。
これまで、肩こり解消などの体のメンテナンスや体力増強、ボディメイクを目的に、ジムのトレーニングマシーン、スイミング、ピラティス、ウォーキング(ランニング)、ダンスなど色々なボディワークを取り組んでみましたが、その中で一番続いたのがヨガでした。
それは、深い呼吸を常に意識をしながら、体を捻ったり、自分の体重で加圧してゆっくりと筋肉をほぐしていくため、ヨガは無理なく体を緩められるボディワークとして最適だったからです。
ヨガの動きを通して、肩こりや緊張性の頭痛、腰痛の緩和も感じられ、慣れて来るとやっていないと身体が気持ち悪く感じるほどです。体の硬さを人と比べることは無用で、自分のペースで無理なく行えてビフォアアフターが感じやすいので、身体が硬い人にこそお勧めです。
ちなみに、女性の場合は、月経前症候群(PMS)に悩む方もいらっしゃるかもしれません。私はそれまでは生理一週間前に、何故かものすごく落ち込んだり自分でも驚くほど些細な事で傷つきやすくなったり、ポテトチップスのようなジャンクフードを無性に食べたくなり過食するということを繰り返していましたが、特に骨盤系のヨガのおかげでホルモンバランスも整いPMS症状が解消されました!
体の不調やメンタルヘルスを保つために、ぜひヨガで深いリラックスと爽快感を得てみてください。
さらに、体力をつけたいという方は、ヨガにプラスしてウォーキングをプラスすることをお勧めします。
できるだけ公園や自然の中のウォーキングがお勧めですが、その時間が取れなければ日常の中で階段を使ったり、室内でも膝を高くあげてその場足踏みを行ったり、スクワットでもOKです。
下半身の筋肉の割合は全身の中で大きく占めるため、大きな筋肉を鍛えることで効率的に基礎代謝を上げることができます。
4.その他: アメリカではホメオパシーのレメディ(民間療法の舌下薬)が小売店で販売されている
おまけ: 日本では、医療機関でアレルゲンを診断された場合、皮下、または、舌下免疫療法という根本治療を受けられる(詳しくは、医療機関にお問い合わせください)
<ホメオパシーのレメディ>
ホメオパシーはドイツで生まれた同質/同種療法と言われ、病気の原因である物質を超微量に希釈された「レメディ」を体内に入れることによって、その特定の物質に対して免疫をつけるという考え方の医療です。日本では2010年に新生児の死亡事故があったため一般的ではないようですが、NYではホールフーズボディなどのナチュラル系のドラッグストアで購入できました。レメディは砂糖玉のようなものとありますが、アメリカで使っていたものは、舌下に液体をたらすタイプでした。私は、それを使った時には少し楽になるように感じたので、アレルギー時期には使用していました。10〜15ドルあたりで購入できたと思います。
<皮下&舌下のアレルゲン免疫療法>
日本の医療機関では、花粉などアレルギーを引き起こす抽出液を体内に入れることによってアレルギー反応を抑えていく減感作療法が受けられます。皮下注射と舌下に垂らす舌下薬がありますが、治療は少なくとも1年から数年かかります。また、舌下薬の保険適用は現在時点ではスギ花粉とダニアレルギーのみのようですが、減感作療法を受けた人のうち70−80%の割合で効果が出るそうです。生活習慣を見直して実行するのが苦痛でなかなか現状が変えられない方は、医療の力を頼るのもありだと思います。もちろん、特定のアレルゲンのアレルギー反応が完治したとしても、今と同じ生活を行っているとまた別のアレルゲンでのアレルギー症状が出る可能性もあるので生活(特に食生活の見直し)を少しずつ変える意識と同時に行うことをお勧めします。治療については詳しく知りたい方は医療機関へお問い合わせください。
最後に(花粉症とPM2.5)
<黄砂とPM2.5の大気汚染のアレルギー?>
色々な取り組みをご紹介して毎年出ていた花粉症シーズンのアレルギー反応はほぼ無くなったにも関わらず、昨年は目の痒みや透明の鼻水、くしゃみが止まらないというアレルギー反応が出ました。
「あれれ??アレルギー体質改善していることを感じていたのになぜ??」と仕方なく抗アレルギーのお薬を飲みましたが、漢方薬と併用してもなかなか止まらず、2日間をすぎたらピタっと止みました。
「あれはなんだったんだろう」と疑問に感じて花粉の飛散情報をみても杉ヒノキとも少ないと書いてありましたが、しかし、黄砂とPM2.5は多いとあり、自分の行動も外にでたり一日中室内も風を通すために窓を開けていたので「黄砂に付着している化学物質やPM2.5の大気汚染からくるアレルギーなのでは」と感じました。
特に黄砂が多くなる3−5月は、スギ花粉の時期とも重なるので、花粉症症状がさらにひどくなるようです。自己免疫力を落とさないような生活を送るとともに、その時期は特に空気清浄機などを活用したほうがいいですね。
以上、長くなりましたが、実際にさまざまなアレルギー症状を持ち体質改善に取り組んできたことをご紹介しました。年々、アレルギー患者が増えるとともに医療もさらに進歩していくと思います。情報をアップデートさせつつ、自分の健康は自分で守るという意識を常に持ち自分を律することが健康につながると思います。それを、楽んで取り組める工夫をすることでアレルギーの辛い症状を切り抜けていきましょう!
少しでもお役に立てることがあれば幸いです。
これからも、色々なボイスケアやボイストレーニングに関する情報もアップして参りますので、どうぞよろしくお願いします♪