【ボーカルレジスター(声区)を知ろう】① レジスターサウンドとは?チェストボイス、ヘッドボイス、ミックスボイス(前編)

'21.04.03

【ボーカルレジスター(声区)を知ろう】(前編)

レジスターサウンドとは?チェストボイス、ヘッドボイス、ミックスボイスについて

ボーカルレジスター=声区 という言葉を聞いたことはありますか?

声区って音域とどう違うの?などと疑問の方もいらっしゃると思います。

また、ミックスボイスという言葉を聞いたことがある方も少なくないでしょう。

地声と裏声とは何が違うのでしょうか?

今回は、それらの「声の名称」についての疑問についてお答えしようと思います。

この記事の内容を理解することによって、レジスターサウンド の観点から「自分の声を自分自身で分析できる」ようになることができます。

例えば、スポーツの練習でも、上達したいと練習するときに、まずは現在の自分のフォームやパフォーマンスなどを把握するということが大事だと思います。

自分の強み弱みを知って、そして何を目指したいかをはっきりとわかることで、その方向性に進めるようなトレーニング方法を組み立てることが可能です。

ただ闇雲に練習するよりも「現状把握」と「方向性」を知って取り組む方が「効率性がアップ」します。

自分の声の分類や出し方を、

”自分自身で分析ができる“ようになると、

<何を強化させて身につけたらいいか>

というボイストレーニングの方向性がご自身でわかると思います。

闇雲に色々なボイスエクササイズに取り組むより効率よく、的確なトレーニングが可能となります。

それでは、まず前半は「レジスターサウンド 」の種類について進めていきます。

ボーカルレジスター(日本語では声区と言います)とは、

「声の音色や音質と、声帯の状態の2つの要素によって分類されたもの」

漢字の通り、「声の区分」です。

それぞれの声の区分に応じて、喉頭筋の働き方が変わります。

それによって“声帯の状態”が変わります。

「喉頭」とはゴクンと飲み込んだ時に動く喉仏です。

「声帯」とは喉頭の中に入っている2つのひだ(vocal folds/cords)です。

では、声区の中でも歌唱においてとても大事な

チェストボイス: 日本語では胸声(ボイスサイエンスではmodal resisterと言います)

ヘッドボイス: 日本語では頭声(ボイスサイエンスではloft resisterと言います)

という、声区をご説明したいと思います。

まず、チェストボイスですが、チェストボイスの「声の音色や音質」は、英語ではよく「heavy」と表現されます。

ソウルフルなサウンドをイメージしてみてください。日本語だと「重みのある」ですが、「パワフルな」「力強い」という表現が適切かと思います。

そして、ヘッドボイスの「声の音色や音質」は、「light」つまり「軽やかな」「柔らかい」「優しい」と表現され、声楽やオペラのソプラノのサウンドをイメージしてみると良いでしょう。

チェストボイスは、いわゆる「地声」、ヘッドボイスは「裏声」とイメージしていただいて大丈夫ですが、ニューヨークボイストレーニングでは、「地声」「裏声」という言葉はあえて使いません。

(その理由は、【ボーカルレジスター(声区)を知ろう】(後編)のミックスボイスの記事でお伝えしています。)

それでは、チェストボイスとヘッドボイスについて話を進めていきましょう。

それぞれレジスターの発声時の「喉頭筋の働きや声帯の状態」は、どうなっているのでしょうか?

チェストボイスは、甲状披裂筋(こうじょうひれつきん)の働きが優位で、声帯が厚くなります。

ギターやバイオリンの弦で例えると、低音域の弦で太い弦です。

中低音の声を出す時に、声帯は相対的に厚みがあり、張りはゆるく声帯の長さは短くなります。

英語では、Thyro-arytenoid(頭文字をとってTA)と言います。

ヘッドボイスは輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)の働きが優位で、声帯は薄く張りが強く、徐々に長くなります。

ギターやバイオリンの弦では、高音域の弦で細い弦です。

英語ではCrico-thyroid(CT)と言います。

甲状披裂筋が働くと、声帯は、厚く、ゆるく、短くなります。ピッチ(音程)は低くなります。

声帯筋が働くと、声帯の張りが強くなりピッチは高くなります。

輪状甲状筋が声帯を引っ張る働きをすると、声帯は薄く、張りが強くなり、長くなります。そのためピッチは高くなります。

ここで、「チェストボイスは必ず低い声でしか歌えないのか? または、ヘッドボイスは必ず高い声でしか歌えないのか?」という疑問が出てくる方もいるかもしれません。

それは、「違います!」

よく訓練されたシンガーであればあるこそ、低音域でもヘッドボイスの音色で楽に歌えるし、高音域でチェストボイスの音色でも自由自在に歌えます。

続いて、「ミックスボイス」について少しお話ししたいと思います。

甲状披裂筋と輪状甲状筋という2つ喉頭筋をちょうどいいバランスを保って発声している状態です。

この2つの筋肉は「拮抗筋」と言って、それぞれが反対方向の動きをする筋肉になります。

ミックスボイスは、それぞれの筋肉がちょうどいいバランスで働いている状態で、「動的平衡(へいこう)」を保った状態になります。

そしてミックスボイスの「声の音色や音質」は、「bright」「明るく」なります。

そして、ミックスボイスが出せるようになることでチェストボイスとヘッドボイスの声区をスムーズに移行することも可能になります。

もしあなたが、甲状披裂筋の働きが優位なチェストボイスが得意でヘッドボイスが弱いと、<高音を出しにくい、ミックスボイスを出しにくく>なりやすいです。

反対に、輪状甲状筋の働きが優位なヘッドボイスが得意でチェストボイスが弱いと<低音が出しにくい、ミックスボイスも出しにい>という状況になります。

どちらの場合も、レジスターバランスが良くなるためのボイストレーニング が必要になります。

もし、あなたが熟練されたシンガーでなければ、トレーニング中に喉頭筋を意識する必要も筋肉の名前を覚えることも必要はありません。

なぜなら、トレーニング中に他にもっと意識を使うべきポイントがたくさんあるからです。

喉頭筋への集中する事によって他に優先して必要な意識を持つことが阻害されるデメリットの方が多くみられるため、ニューヨークボイストレーニング のレッスン中では喉頭筋にはほとんど触れません。

まずは、「そうなんだなぁ」程度に知っておくだけで大丈夫だと思います。

レジスターサウンドの音色を聞き分ける力と、それを出すようになる実践的なエクササイズを行うことの方がより重要なので、

効果を出すために必要な、発声時の発声器官のフォームや使い方、そして身体の感覚を高めていくことを優先しています。

ご自身で練習する時も、特に初心者の方は喉頭の筋肉だけに囚われてそこに全集中するようなことは避けてください。

まずは、自分がチェストボイスが得意なのか、ヘッドボイスが得意なのか、もしくはどちらもバランスが取れているのかを分析してみてください。

色んなプロのシンガーの声をレジスターサウンド の視点からたくさん聞いて、聞き分ける力を身につけてください。

イヤートレーニング によってご自身の聞き方を深めて聞く情報が多くなることも、発声の向上に繋がります。

続くボーカルレジスター記事では、ミックスボイスについて記事と、レジスターサウンドを理解した生徒さん達によく頂くレジスターについてのご質問についてお話ししたいと思います。

ボーカルレジスター(声区)について

レジスターサウンド【前編】チェストボイス、ヘッドボイス、ミックスボイスについての動画はこちら(デモ有);