【ニューヨークボイスケア】 気をつけたい【のどの不調や声の出しづらさとなる原因5選】

'21.06.30

【ニューヨークボイスケア】

気をつけたい【のどの不調や声の出しづらさとなる原因5選】

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このブログでは、ボイストレーニングのレッスンにいらっしゃる方たちの中で、これまでに多くみられた喉の不調となる原因を挙げてみました。

「なんだか喉の調子が悪いな」と気になる時に、症状が慢性化したり悪化したりする前に、喉の不調の原因に応じた然るべきセルフケア法や、症状に応じて異なる受診先の選択の判断のためにどうぞご参考ください。

<ご注意>もちろん、ここで取り扱う喉の不調の原因5つだけが全てということではございません。

ここでは、色々な可能性を知ることによって医療機関での医師の診断と治療を受けたり、セルフケアを行えるための情報提供の記事となりますのでご了承ください。

また、ボイストレーナーとして病理診断や医療行為はもちろん行えません。これまでにボイストレーナーから声帯についての状態を断定的に言われたことのある方がいるようですが、各医療機関での検査や医師の判断ではない場合は鵜呑みにしないようにしてください。

【のどの不調や声の出しづらさに多くみられる原因5選】

①上咽頭炎

②アレルギー症状

③胃食道逆流症による声帯炎

④気管支炎、咳喘息

⑤ストレス性の声の出しづらさや喉の違和感(けいれん性発声障害や咽喉頭異常感症など)



①上咽頭炎

色々な「のど」の名前

私たちが何気なく言っている「のど」とは、鼻の奥あたりから喉ぼとけのあたりを咽頭=Pharynx(上咽頭・中咽頭・下咽頭)と声帯のある辺りの喉頭=Larynxからなっています。

普段、何気なく「のどが腫れてる」と言っていますが、そのように部位によって「のど」の名称が違えば病名も違います。

のどを鏡で覗いた時に赤く腫れているような場合は、急性の【咽頭炎】や【喉頭炎】が考えられ、若年齢でのどの腫れから高熱がすぐに出るような場合は、【扁桃炎(口蓋扁桃炎)】の恐れもあります。しかし、口を開けて鏡を覗いてみても、赤く腫れていない、鼻づまりはそこまで気にならないけど、喉の不調が続くという方の中には、【上咽頭炎】の可能性があります。

不快感や声の出しづらさを感じながらも、原因がわかりにくいため ”症状を放置しがち” になりやすいので、まずは一番目に取り上げます。

【上咽頭炎の症状】

上咽頭炎が起こると、口を開けても赤く腫れていない、鼻をかんでもスッキリしにくい、咳払いをしても喉に引っかがるように感じられることがあります。

【後鼻漏(こうびろう)】によって、鼻の奥から声帯まで落ちた鼻水のせいで声が出しづらくなったり、声がかすれることもあります。

上咽頭炎は自分で目視できないため、医療機関で内視鏡検査して確認してもらいます。

ちなみに、後鼻漏は【副鼻腔炎】や【鼻炎】でもなりやすいと言われてます。顔まわりには、鼻の中の空洞(鼻腔)や口の中(口腔)だけでなく副鼻腔と言われる空洞があります。

副鼻腔とは、前頭洞(ぜんとうどう)、篩骨洞(しこつどう)、上顎洞(じょうがくどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の総称です。

治療法

【上咽頭炎】【副鼻腔炎】【鼻炎】の治療は、内服薬、鼻洗浄、ネブライザー治療などがありますが、【上咽頭炎】の場合は、そのほかに<Bスポット療法>というものがあります。

直接患部に消毒をする治療で症状が早く回復することが期待できますが、塗られる数秒間に痛みとその後に違和感がしばらく続きます。

日本人医師が提唱したためBスポット療法を日本以外で受けられるかは不明ですが、セルフケアの「鼻洗浄(nose wash)」で緩和させることが期待できます。

生徒さんから症状をお聞きして耳鼻科への受診をお勧めして「上咽頭炎」と診断されたかた達以外にも、特に病院には行かなかったけど、鼻うがい(鼻洗浄)をして症状が楽になったという方もいます。私自身も、よっぽど緊急を要する時や症状が重い時以外は、Bスポット療法よりも、痛くない上に慣れると心地が良い<鼻うがい>を選びます。(Bスポット療法を何度も受けるのは苦痛でした…)

急性咽頭炎や喉頭炎のようないわゆる風邪の症状の場合は、安静にして体を温めて、消化に良いものを食べて、水分と睡眠をとることで、体力の回復とともに喉の痛みも減ることが多いです。

歌い過ぎ、喋り過ぎによる一時的な喉の痛みの場合は、「使い過ぎ」による喉頭や声帯の急性の炎症の可能性が大きいです。

【急性喉頭炎】や【声帯炎】の場合は、炎症が治るまで「使わない」ことを最優先させて休ませて様子を見ることをお勧めします。

声帯の炎症がひどくなって浮腫むと【声帯浮腫 (ふしゅ)】になって声が一時的にほぼ出なくなったり、

マメのような【声帯結節(けっせつ)】ができたり、血豆を繰り返してできる【声帯ポリープ】になってしまいます。

嗄声(声枯れ)の代表的な病気としてネットや書籍で多く紹介されている「声帯結節」や「声帯ポリープ」は、情報が手に入りやすいためここでは詳細は割愛しますが、結節やポリープにまで発展しないうちに対処することが大切です。

そのために、まずは無理矢理声を出し続けるようなこと、仕事、練習、おしゃべりを控えて、十分に休む(沈黙療法)、酷使し続けない、発声スキルを向上させる、喉周りを含めた身体の緊張をリラックスさせることが必要です。特に今度も歌い続けたい、声を使った仕事を行いたい人なら尚更、声を使う頻度や時間の工夫や発声スキルの向上は必須です。

乾燥に注意

また、「声帯」にとって乾燥も避けたいポイントです。不調の有無にかかわらず、常に喉を潤すように意識しておきましょう。

「お水を1日2リットル以上とる」ということをお勧めするボイストレーナーもいらっしゃいるようですが、それは「水分の総量」の間違いです。

食事に含まれる水分と、飲み物の水分の総量で約2Lが目安とされているため、お水だけをひたすら2L以上飲みすぎると、体質によっては浮腫んだり健康被害を起こす場合もありますのでご注意下さい。ちなみにお水は1.2L~1.5Lあたりまでが適切と言われているようです。むくみやすいかたは控えめに、大量の汗をかいた場合はいつもより多めに、とご自身の体質や体調と合わせることが大切です。

稀なケース

最後に、稀なケースですが【急性喉頭蓋炎】になられる方もいます。

喉頭蓋とは、飲み込む(えんげ)する際に気道に食べ物が入らないための弁です。そこが腫れてしまうと、呼吸困難が急速に進行するためすぐに医師に診てもらう必要があります。

ショーを控えたリハーサル期間に発症し、緊急入院をしたシンガーさんもいました。この【急性喉頭蓋炎】になった方はそう多くなさそうですが、発症したら急を要する可能性があるためご紹介しておきます。

声帯の検査法

咽頭や声帯の状態を診てもらうような時は耳鼻科になりますが、その中でも【喉頭ストロボスコピー検査】を受けられる耳鼻科やボイスクリニックをお勧めします。

喉頭ストロボスコープによって、声帯異常だけでなく内視鏡検査ではみれない声帯の振動の異常がないかも診てもらい、さらに可能ならその写真も貰いましょう。

そうすることで、自分でも写真から症状の比較や声帯の状態の変化を知ることが出来ます。

以前、ボイスクリニックにて「健康な状態の写真もあるとなお良い」と言われたこともありました。何か喉の不具合があった際にこれまでの声帯の状態の写真を医師に参考にしていただき、比較検討の材料にしてもらうことが出来ます。写真は患者からお願いしないと貰えない場合が多く、お願いすると無料でいただけることが多いので、検査を受けた場合には診察時に医師にお問い合わせください。

②アレルギー症状

花粉症時期でなくとも、アレルギー症状をお持ちの方が増えているように感じます。アレルギー性鼻炎によって、鼻詰まりや鼻水、くしゃみが続くことで、口呼吸になったり、呼吸が浅くなったり、声帯周辺の腫れに繋がることもあります。何より、止まらない鼻水とくしゃみで歌いづらく日常生活にも支障をきたしてしまいます。

アレルギー症状の緩和は、抗ヒスタミン薬や点鼻ステロイド薬などで薬物療法が一般的ですが、アレルゲン免疫療法(減感作療法)や鼻の粘膜をレーザーで手術する療法もあります。

アレルギー体質でもある私が実践してきたアレルギー症状が緩和した体質改善やセルフケアについては、別ブログにまとめてありますので、どうぞご参考ください。

つらいアレルギー症状の体質改善について(前半

つらいアレルギー症状の体質改善について(後半)


最近、注意しているのは花粉ではなくPM2.5です。私自身、今年の5月後半にそれまで落ち着いていたアレルギー症状が数回出ましたが、いづれの日も花粉飛散や黄砂の観測が少なくPM2.5が高い日でした。そういう場合、コロナで家にいる機会が多い現在は空気清浄機の活用でとりあえずは乗り切るしかないのかなと思いますが、大気汚染を防ぐようなエコへの取り組みにも意識を向けて自分でできることを日常で取り組みたいですね。

アレルギー症状で止まらない鼻水やくしゃみの不快感が続くと、それだけで体力や気力が奪われてしまうので、対症療法に頼ることも必要だと考えてます。抗ヒスタミン薬などを活用しつつ、しかし、それだけに頼らずに体調を改善するような働きかけも同時に行っていきましょう!

③胃食道逆流症による声帯炎

声帯が炎症を起こす声帯炎の原因には、ウイルスや歌いすぎや無理な発声を続けるという以外に、<胃酸の逆流>によっても起こります。喉がイガイガするだけでなく、同時に胸焼けや胃酸の酸っぱいものや苦い感じが下から喉に感じる(呑酸)場合、【胃食道逆流症】によって胃酸が逆流して喉の違和感を感じているのかもしれません。

また、喉は痛くなくても声が出しにくく感じる、胃の不快感や、食べ過ぎ飲み過ぎ、高脂肪のものを多く食べた、就寝時に頭の方が胃より低い、食べてすぐに寝る、肥満や便秘など内臓を圧迫してる状態などが当てはまったら、【胃食道逆流症】を疑ってみる方がいいかもしれません。


レッスンにいらっしゃる方にも、慢性的または一時的に、声がガラガラとしゃがれたような感じになっていて、空咳をされているような方にお話をお聞きしていると、胃食道逆流症の疑いや診断されていると言われる方も少なくありません。

胃食道逆流症の症状に思い当たることがあれば、まずご自身でできることは、

  • 暴飲暴食や健康的な食事内容に気をつける、
  • 頭が低くなりすぎないように枕の高さを調整する、
  • 食べてすぐに寝ないようにする
  • 右側を下にして寝ない(胃が食道より上になり重力で逆流を起こしやすくなるため)
  • ベルトや前屈の姿勢でお腹周りを締め付けないようにする

などです。

上記のような症状が強い場合や長引いている場合、耳鼻科よりまずは胃腸科や消化器科、内科に行って医師に診てもらうことをお勧めします。

場合によっては胃カメラで検査を受けたり、お薬を処方していただくことで喉の不調の改善につながることがあるかもしれません。

④気管支炎、咳喘息

<咳>は、左右の声帯が激しくぶつかり声帯炎を引き起こしてしまいます。声帯を痛めないためにも咳が続く場合に出来るだけ早く咳が収まるようにしなくてはいけません。

しかし、咳の原因に応じて治療や処方されるお薬が変わります。特に、市販の咳止めを使うことで、効かないどころか逆効果の場合もあります。

特に2週間以上の咳が続く場合は、市販薬を控えて【呼吸器内科】や呼吸器系の専門の医療機関へ行って検査を行うことをお勧めします。

「咳が続いて風邪が長引いているのかな」とそのまま放置することで、症状を長引かせたり、慢性疾患の【気管支喘息】などに至らないように、咳には十分に気をつけましょう。

【急性気管支炎】

は、ウイルス感染により気管支の粘膜に炎症が起こることで咳がでます。ウイルスを早い段階でキャッチして対処する上咽頭などから免疫低下などによって段々と体の深部にウイルスが侵入して気管支へ到達することもあるので、のどの痛みなど風邪の症状を感じたら、体を温めたり消化に良いものを摂り入れて睡眠をとるような早い対処で回復するかもしれません。気管支が炎症が広がると咳が2週間以上長引いてしまうことも多々あります。初めは透明の鼻水でも、段々と痰や鼻水が黄色くなってきたら悪化しているサインになります。その場合、インフルエンザ菌や肺炎マイコプラズマなどの細菌性の感染の可能性もあり、それによって治療法も変わるため自己判断せずに医師へ相談することをお勧めします。



【咳喘息】

は、私自身も急性気管支炎の後に発症していた経験のある咳が長引く病気ですが、咳喘息の咳はウイルス性ではなく

・アレルギーに反応

・気管が炎症

・気管支が収縮している

ため、狭くなった気管を拡げる<気管支拡張薬>や炎症を抑える<吸入ステロイド薬>などを処方されます。

市販の咳止めは、気管を収縮させる効果があるとのことで、全く逆効果となります。

同じくアレルギー反応からくる【アトピー性咳嗽】の咳の場合は、<気管支拡張剤>はききません。

他にも、【副鼻腔気管支症候群】【気管支拡張症】【慢性気管支炎】などがあり、自己判断がつかず医師によっても見分けが難しいことがあるそうです。

そのため、咳が長引く場合は、

①肺に異常がないかのレントゲン検査や、

②呼気中の一酸化窒素(エヌオー)の濃度を測定できる<NO測定>でアレルギーが咳に関係しているかの検査

③呼気時に気管が狭くなっていないかを測定する<呼吸機能検査>

によって、咳喘息を数値で検査してくれる医療機関をお勧めします。

ちなみに、私の経験ですが、呼吸器内科でそれらの検査と問診によって咳喘息と診断されて的確な治療を行うまで、違う薬を飲んでいて治らないまま咳に長期間苦しんだ時期がありました。

また、他の病院では、「咳には色々な原因ががあるので全部のお薬を出しましょう」と言われて、抗ヒスタミン薬、点鼻薬、抗生物質、吸入ステロイド、漢方薬(確か、麦門冬湯)など数種類のお薬を一度に全部処方されたこともあります。サプリも含めたお薬の<多剤服用>による副作用の増大のリスクや、飲み合わせのリスクに対して疎い医師もいるようなので、医師選びやどの専門性の医療機関へ行くかを吟味して受診することもお勧めします。

<咳>にも色々な種類や原因があります。特に長引く咳は歌に影響を及ぼすだけではなく、不可逆性(一度発症すると治らない)慢性疾患となる場合もあるので、軽視しないようにしましょう!

⑤ストレス性の声の出しづらさや喉の違和感(けいれん性発声障害や咽喉頭異常感症など)

声帯など喉全般に病理性は見られないのに、声が出しにくかったり震える原因に、【痙攣性発声障害】があります。こちらは、<喉頭ストロボスコピー検査>で声帯の振動や開閉の状態を検査することでわかるそうですが、声帯に過緊張がみられる場合、声帯にボトックス注射を打つことで、一時的に神経を麻痺させて緊張をほぐそうと試みる治療が施されるようです。

【咽喉頭異常感症】は喉につっかえる感じや締め付けられるような違和感があり、耳鼻科疾患や貧血、糖尿病などの全身疾患が影響することもあるそうです。それらがない場合、心因性と疑われ、心理療法や抗うつ剤の処方もあるようです。

また、【心因性発生障害】も喉まわりの筋肉の過緊張によって声が出なくなったり、逆に力が入らなくて出なくなる場合もあるようです。

ストレスが高い状態が続いて且つ声を出すお仕事の方で、検査をしても病気が見つからないという方からご相談いただいたり、レッスンにいらっしゃる方がいますが、特にレッスンを受けて”頑張って”発声をよくしようと力まれたり、頑張ってもすぐに思い通りにならない状況にまたストレスを抱えるという悪循環になると余計に辛くなると思います。

心因性の疑いがあるからといって、それを取り除くためにご自身の生活のいろいろなことを大きく変化させることがすぐには難しい方は、まずは心身をリラックスへ導くために、<ボディワーク>をお勧めします。

<ボディワーク>は、
整体や鍼、リンパパッサージなどの手技療法から
ウォーキングやスポーツなどの運動、
ヨガや太極拳などの呼吸を合わせたゆったりとした精神安定の効果のものといろいろありますが、

ポイントは、体の緊張を緩めることで呼吸が深くなることで、心のストレスを軽減する、気持ちを楽にするということです。


声と心身は直結しています。


普段、ボイストレーニングでは、発声時の身体のいろいろな使い方やバランスを変えることと聴覚トレーニングを同時に行うことで発声の機能をよくしていますが、心因性の場合の声の出しにくさは機能性を高めるのではなく、声が出しやすい状態へと心身を整えてあげることだと私は考えています。



身体を緩めることで、精神的なストレスを軽減させ、それが身体の硬直を軽減させるというボディワーク優先でリラックスさせて心身に相乗効果を生みます。

適度な運動やストレッチ、マッサージを受けることでリラックスすることは、歌や特定の病気だけでなく、健康にも影響します。

苦しさに目を向けると段々と視野が狭くなって余計に自分を苦しめてしまいかねないので、自分自身をいたわってあげましょう。
そうすることで、声だけではなく身体や毎日の生活の心地よさも変わっていくのではないでしょうか。






毎日自分だけでボディワークを続けられない!という方は、ニューヨークボイストレーニングの『歌うカラダのためのヨガ』をお勧めします♪

以上、日頃ボイストレーニングの現場で発声の練習だけでなく、ボイスケアために情報提供していることをまとめてみました。

発声器官の健康は、歌や喋る以外に、飲み込むための嚥下機能にも関わってきます。

のどに関する不調を取り除いていたわることでQOL(quarity of life)を向上にも繋げられます。

日々の生活を楽しくより良い、MUSIC LIFE にしていきましょう♪